理想の紀州犬への模索
理想の紀州犬への模索
愚かな試みか?
犬舎の周りで起きる小さな出来事だが、白蓮にはそれが不安でストレスを感じていた。
記憶の断片に残る事象と、現実のよく似た事象が繰り返され、それらが些細なことで問題ではないと記録されるまで不安が残っていたのだ。
それが漸く慣れて、これらの事象が異変として自分を襲うことがないことが理解できたのだろう。
ようするにそれは高速道路の工事だった。
高速道路の工事は犬舎から50m以上離れてはいるが、ショベルカーやブルドーザー
そしてダンプカーの騒音に振動は、彼女に心痛を齎したことは想像に難くない
ストレスから脂肪分が10%超えるペットフードの継続給餌ができなかったが、ここに来て漸く食べ残しが少なくなり
給餌できるようになった。
ゴールデンウイークの期間は工事が中断された、彼女の食欲が改善していたのがその証左である。
白蓮 5.5ヵ月齢 体高46cm 体重12.3kg
更した。
成長と毛艶が良くなった。
パピー犬用 ユーカヌバ ラムライス 粗脂肪:15.0%以上(チキンかなり含む)
パピー犬用 サイエンス ダイエット ラムライス 粗脂肪:16.5%以上
全年齢用 ダイヤモンドナチュラル ビーフ(しばらく品切していた。)粗脂肪:14%
(グレインフリー プレミアムフード)
以上
白蓮が1歳を迎えた時、熊楠と餌を合わせるため、ユーカヌバ ラムライス ブリーダー用に変更する予定だ。
彼らの運動場はとうとう完全に高速道路工事に埋め尽くされてしまった。
オホーツク海に面した
小清水町の原生花園の小型版が徳島にもある。(1/100 規模)
春が短い北海道では花が一斉に咲く、そのようにはいかないがそれでも、
ピンクのカスミソウのような花が美しい、「浜撫子」が今を盛りと咲いている。
この海岸が彼らの新しい運動場だ。
犬舎から約600m
戦前に東京の真ん中でオオカミを飼っていた、犬学者の「平岩米吉」は、
著書「犬と狼」の中で
オオカミの特徴として異物に対する烈しい臭覚の衝動から、散歩の途中道路で座り込んで動かなくなる時があるという。
熊楠も何度かコンビニの前で座り込んだ。
様々なにおいだ。「コンビニ恐怖症」なのである。
だから散歩のコースにはコンビニの前を通ることが外せないのである。
熊楠 2歳7ヵ月齢 体重23.4kg
熊楠と白蓮は未だ別居中である。
熊楠が白蓮への攻撃的な態度を見せた時、私が厳しく睨みつけて以来、熊楠はその戦闘モードを解除している。
しかし自然環境と大きく異なる人工的で狭い犬舎という環境で、白蓮の安全が確保できたと見るのは
極めて早計な判断と言わざるを得ない
未だまだ体格差が大き過ぎるのだ。
熊楠の散歩から帰ると順番を待ちかねた白蓮が、塀と柵に囲まれた犬舎から飛び出してきた。
犬舎の外には出られないはずだが.......
私は左手で熊楠のリードを持ちながら熊楠に「伏せ」をさせた。
熊楠はじっと伏せている。
白蓮を叱るが言うことを聞かない、白蓮を右手一本では捕らえられない、白蓮はそこらじゅうを駆け廻る。
白蓮はさらに態度をエスカレートし熊楠にちょっかいを出す。
熊楠は耐えている。
私は一旦この態勢のまま白蓮を捕えることをあきらめ、熊楠を熊楠の犬舎に入れリードを解いた。
そして走り回る白蓮を捕まえた。
「熊楠の忍耐力に驚かされた。」
さてコンラート・ローレンツ(ノーベル医学生理学賞 受賞)動物行動学者
「人イヌにあう」著書
サーカスの犬と、肉体的な基準を主眼とするイヌは、根本的に相反するのでは
ないが、サーカス犬には強い忍耐力が必要で高い精神性が求められ、観賞
用の美しさを競う肉体派の犬との、両方の特性を併せ持つことは難しいと結論づけている。
特に鳩にこの傾向が顕著だと。
愛好家の品評会によって容姿が競われる鳩と、鳩レースによってタイムで競われるレース鳩。
それぞれが異なる目標に向かって品種改良が行われ、両者に共通性はまったくないからだろう。
一方サーカス犬と観賞用の犬では、大勢の人や犬を恐れない態度が必要な点は同じだ。
それでは猟犬はどうか、サーカス犬同様に強い忍耐力と、さらに獲物を恐れない勇気や、銃声に怯えないことも必要だ。
ここまでハードルが高くなれば、サーカス犬同様観賞用の犬のような純血性を担保しながら、その素質を
見出そうとすることがどれほど回り道か分かろうというものだ。
しかしまた一方で「紀州犬 その未来を見つめて」で述べたように、猟犬の中でも大型の獣害対策では..
日本の山岳は起伏に富み、川の上流域の沢や岩場は小型犬には超えらないところも多く不向きだ、
また藪の多い地域では大型犬は適さない。
さらに猟犬の訓練は犬が落ち着く4歳以降が良いとされ、大型犬では寿命や山岳での運動量など不利な点が多いのだ。
中型犬の大きさと勇気を担保するには紀州犬や四国犬の血統が欠かせないとも言える。
一般論としてイヌとオオカミでどちらが獲物を捕らえる力がたけているかは、それは議論を待たないだろう。
猟犬としての特性をより持ち合わせるには、犬の祖先であるオオカミの猟能力なる部分を残している個体が望ましいのだ。
熊楠と白蓮 まさに猟犬タイプとショータイプ 模索である。
熊楠 日高系 有色紀州犬 猟犬タイプ 日本犬保存会登録
白蓮 ショータイプ 紀州犬 日本犬保存会登録
白蓮の父
日本犬保存会 全国展 若1 優良1席 若犬将 受賞犬